近年、無垢材や珪藻土、漆喰といった、自然素材を使った家づくりを希望する人が増えてきました。弊社でも、新築やリフォーム時に「床は無垢フローリングにしたい」「壁は塗り壁で仕上げたい」とのご相談をよくいただいております。

そこで今回は、そもそも自然素材の家とはどのような家を指し、どんなメリット・デメリットがあるのかを、使われる素材の種類や特徴とあわせてご紹介します。

自然素材の家とは?

自然素材の家とは「できるだけ化学物質を含まない素材を、積極的に使用した家」を指します。

日本で「シックハウス症候群」という言葉がよく聞かれるようになったのは、1990年代のことです。

従来日本の住宅は、風通しがいいのが特徴でした。しかし省エネルギー化に向けて、住宅も高気密・高断熱化の方向に急速にシフトしていきます。その結果、建材などから揮発する化学物質が室内に充満するようになり、不調を訴える人が増えたのです。

そんななか、注目を集めるようになったのが、化学物質を含まない自然素材です。自然素材の家では、接着剤などが多用される集成材や合板の使用をできるだけ避け、代わりに珪藻土や漆喰、無垢材といった素材を活用します。

自然素材を使用することで化学物質の影響を軽減し、身体にやさしい住環境を手に入れることができるのです。

自然素材の家で使われる素材の種類と特徴

自然素材の家でよく使われる素材として、無垢材と漆喰・珪藻土をご紹介します。

無垢材

無垢材は、天然の丸太から切り出された柱や板状に加工された建築材料を指します。スギやヒノキ、パインなど、さまざまな種類の木が使用され、それぞれ木目や香り、肌触りなどが異なります。

無垢材には調湿作用があり、夏には湿度を下げ、冬には乾燥を和らげてくれるのが特徴です。断熱性も高いので、冬に素足で歩いても、合板フローリングのように冷やっとすることがありません。

だんだん落ち着いたあめ色に変わっていくなど、経年による変化を楽しめるのも無垢材の魅力です。

無垢材について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

無垢材の特徴とは?経年変化を楽しめる無垢材の魅力

漆喰・珪藻土

漆喰や珪藻土は、塗り壁に使用される素材です。漆喰は貝の死骸が化石化したもの、珪藻土は藻が化石化したものから作られます。

どちらも細かな穴がたくさん空いた多孔質であるため、調湿性や消臭性に優れているのが特徴です。コテで仕上げるときの模様の付け方などで、個性豊かな壁に仕上げられます。

漆喰と珪藻土の詳しい違いや選び方は、こちらの記事をご覧ください。

珪藻土と漆喰の違いとは?メリット・デメリットと選び方をご紹介

自然素材の家のメリット・デメリット

自然素材を活用して家を造るのには、どのようなメリット・デメリットがあるのかをまとめました。

自然素材の家のメリット

自然素材の家のメリットは、2つあります。

メリット① 身体にやさしく快適な空間になる

先述したとおり、自然素材は、文字通り自然からできた素材なので、基本的には化学物質を含みません。そのため化学物質に過敏な方や、アレルギー体質の方には適した身体にやさしい素材といえます。

さらに無垢材や珪藻土、漆喰などの代表的な自然素材は、断熱性や調湿性にも優れています。部屋の湿度や温度を一定に保ちやすくする効果があるので、過度な冷暖房が不要になり、過ごしやすく快適な空間を生み出せるのもメリットです。

メリット② 自然素材ならではのナチュラルな雰囲気の家にできる

自然素材ならではの、ナチュラルな雰囲気のある家づくりを楽しめるのもメリットのひとつです。

たとえば無垢材は合板とは違い、触れるとかすかな弾力とやわらかな温かみがあります。また、一枚一枚が世界にたったひとつのオリジナル品で、個性を感じさせます。

珪藻土や漆喰の塗り壁も、職人が丁寧に手作業で仕上げるため、工業製品の壁紙やクロスでは出せない風合いに仕上がるのです。

自然素材の家のデメリット

ナチュラルで快適な空間を生み出す自然素材ですが、デメリットもあります。

デメリット① 汚れや傷が付きやすい

自然素材の家でよく使用される無垢材や珪藻土などは、汚れや傷が付きやすいのがデメリットです。

たとえば合板フローリングや壁紙クロスは、汚れが付きにくいように表面加工されています。合板フローリングは表面にウレタン塗装が、壁紙クロスはビニール素材のコーティングがされているのが一般的です。

しかし自然素材は、自然そのままなので、撥水性に乏しく、また表面もやわらかいのが特徴です。そのため水分をこぼすとシミになりやすく、硬い物を落とすと傷が付いたり欠けたりしてしまうのです。

デメリット② 初期コストがかかる

マイホームを自然素材で仕上げようとすると、通常よりも費用が高くなるのもデメリットです。無垢フローリングは合板フローリングよりも単価が高いものが多く、また塗り壁仕上げは職人の手間がかかるので、人件費が高くなるためです。

しかし自然素材は、メンテナンス次第では合成品よりもずっと長持ちするのが特徴です。無垢フローリングは、傷や汚れが付いたら、削ることで新品のようによみがえります。珪藻土や漆喰は重ね塗りができるので、修繕したいと思ったときでもクロスのように剥がしてやり直す費用が発生しません。

自然素材の家は、初期コストがかかっても、メンテナンス次第で長期的には安くつく場合も多いのです。

まとめ

自然素材の家は、化学物質の使用を最低限に抑えて身体にやさしい空間を生み出します。ナチュラルな雰囲気を演出し、経年変化を楽しめるのも自然素材の家の魅力です。

祢冝田建設では、自然素材の家の建築・リフォーム経験が豊富です。無垢材を作って家を建てたい、壁を珪藻土でリフォームしたいなどのご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。