限られたスペースで必要な部屋数や広さを確保して、使いやすいように間取りをレイアウトすることに難しさを感じる方は少なくありません。水回りを北に集めることなど、レイアウトの法則のようなものもありますが、リノベーションでは、暮らしに合わせて自由に間取りを考えることが可能です。そのひとつの選択肢として、廊下を一切作らないという間取りがあります。当たり前のように廊下がある家が多い中で、リノベーションで廊下を無くすことを検討している方や、実際にリノベーションで実現して良かったと感じておられる方もいらっしゃいます。
廊下を無くす間取りにリノベーションすることには、どんなメリットがあるのでしょうか?廊下を無くす間取りを考える時のポイントとともにご紹介したいと思います。
1.廊下を無くす間取りのメリットとは?
廊下を無くす間取りが人気なのはナゼでしょうか?そのメリットや効果についてご紹介したいと思います。
■居住空間を広くとれる
廊下を無くすことによって、廊下分のスペースを居室空間にあてることが出来るというメリットがあります。リノベーションで間取りを考える際に、リビングや子ども部屋など充分なスペースが取れないように思える場合でも、廊下を無くすことによって、希望の広さを確保できるかもしれません。
例えば廊下を無くして、LDKから個室に入るようにすると、LDKのスペースを最大限に広くすることが可能です。しかし、廊下兼LDKというカタチになるので、通路としての用途が強く家具が置けないため、一見LDKとしては広く使えていないと感じるかもしれません。確かに用途としては居室ではないスペースになるかもしれませんが、廊下を作るために必要だった壁やドアのスペースが居住空間に加えられることや、壁による圧迫感がないことから、広く明るい、開放的な居室を作れるというメリットがあります。ドアと壁分の、リノベーション費用を抑えることが出来るというメリットもあります。
■導線が短く家事・子育てがしやすい
廊下を経由せずに各部屋に入ることが出来るので、ドアを開閉する手間がなくなり、導線が短くなります。導線を短くすることで家事がスムーズに行えます。
また、廊下が無いことで、空間が細かく区切られないため、家族の様子が見え、家族と顔を合わせやすくなり、コミュニケーションの機会が増えるというメリットもあります。子どもの世話や介護がしやすくなるなど、暮らしやすさにも影響を与えます。
2.廊下を無くす間取りにリノベーションする時のポイント
廊下を無くす間取りにすることにはメリットがある一方で、デメリットもあります。デメリットを知って、それに対応した間取りにしなければ、使い辛く快適ではない家になってしまうかもしれません。廊下を無くす間取りにする際に、どんな点に注意すべきかご説明したいと思います。
■冷暖房の効率を考える
居室空間が広くとれて開放的になるため、最も快適に過ごしたい空間の冷暖房の効率が悪くなるというデメリットがあります。そのため断熱材を入れたり窓をペアガラスにしたり、家そのものの断熱性や気密性を上げることも重要です。間取りだけではなく、構造部分も一緒にリノベーションすることで、廊下を無くしても冷暖房の効率を高めることが可能です。
また、風が流れやすい位置に窓やドアを設けるなど、窓や部屋の位置もよく考えて設置することは快適な空気の流れを作るうえで重要です。
■プライベート空間を確保したい?
廊下がないことでプライベート空間を確保しづらいというデメリットが発生します。来客時には、LDK全体が見えてくつろげなかったり、防音の役割にもなる廊下がないことで、リビングからワークスペースへの音漏れが気になったりする場合もあります。料理の匂いが気になるというケースもあります。
しかし、ある人にはデメリットと感じる部分がメリットと感じる方もいらっしゃいます。例えば、子どもが友達を家に呼ぶ場合、思春期の子どもにとっては家族がいるリビングを通って子ども部屋に行くことがデメリットに感じるかもしれませんが、親は子どもの友達と顔を合わせることが出来て良かったと感じるかもしれません。
廊下がないことがメリットと感じるか、デメリットに感じるかは、家庭や個人、ライフスタイルによって異なります。そのため、廊下を無くしてもプライバシーを確保できるかどうか、自分や家族にとって、どんな時にプライバシーが必要かどうかを検討して間取りを考えることが大切です。
廊下が無い家でもプライバシーを確保したいと思うのであれば、LDKのカタチをL型にすることで、玄関から死角となる部分を作り来客者から全てが見えないようにすることや、間仕切りドアで一時的に間仕切ることも出来ます。腰壁やパーティションを設けることも出来るかもしれません。廊下を作るのではなく、空間を仕切る方法を考えてみましょう。また、ワークスペースと水回りを離すことで音漏れ対策も出来るので、部屋のレイアウトによってもプライバシーを確保することが可能です。
3. まとめ
廊下を無くす間取りにリノベーションすることによって、居住空間を広く開放的に出来たり、導線が短く、家族が顔を合わせやすい空間になってコミュニケーションの機会を増やしたりすることができるという効果があります。しかし一方でデメリットもあります。冷暖房の効率が下がる可能性があるので、断熱性を上げることを意識してリノベーションを行うことや、プライバシーを確保し辛くなるので、間仕切りできるようにしたり、部屋のカタチを考えたりしてリノベーションを行いましょう。
廊下を無くす間取りがメリットになるかどうかは、各家庭の暮らし方によって異なるので、自分のライフスタイルに合っているかどうかを照らし合わせながら間取りを考えていきましょう。