住宅の外壁といえば、サイディングが最も多く使われていますが、過去にはモルタル外壁が主流であり、現在でも根強い人気があります。
モルタル外壁の人気の理由として、バリエーション豊かで特有の美しい仕上がりが挙げられます。
しかし、外壁は常に過酷な環境にさらされていることから、美観を守るためにも、適切なメンテナンスを施していかなくてはなりません。
そこで今回は、モルタル外壁塗装について、おもな仕上げ方法やメンテナンス方法などを詳しく解説したいと思います。
【モルタル外壁塗装】おもな仕上げ方法とは
そもそもモルタルとは、セメントと砂、水を混ぜ合わせたものをいいます。
そしてモルタル外壁は、外壁下地にラス網などを張り、モルタルを塗って塗装で仕上げたものです。
モルタル外壁塗装にはいくつかの仕上げ方法があり、代表的なものといえば以下の5つになります。
・リシン
・リシンかき落とし
・スタッコ
・吹き付けタイル
・左官仕上げ
リシン
モルタル外壁のリシン仕上げとは、塗料に砂などの骨材を混ぜて吹き付ける仕上げ方法です。
ザラザラとした質感と低コストでできることなどがおもな特徴となりますが、表面にある多くの凹凸に汚れやカビ、コケなどがたまりやすい点は注意が必要です。
リシンかき落とし
モルタル外壁のリシンかき落とし仕上げとは、リシン吹き付けを行い、乾燥する前に剣山やブラシなどを用いてかき落とす仕上げ方法です。
重厚感のある仕上がりがおもな特徴となりますが、リシン仕上げよりも手間がかかるためコストが高くなってしまう点は注意が必要です。
スタッコ
モルタル外壁のスタッコ仕上げとは、石灰やセメント、砂などを混ぜ合わせたものをコテ塗りや吹き付けによって仕上げる方法です。
耐久性に優れることがおもな特徴となりますが、コストが高くなることや表面の凹凸に汚れなどが付着しやすい点は注意が必要です。
吹き付けタイル
モルタル外壁の吹き付けタイル仕上げとは、専用のスプレーガンで3層重ねて吹き付ける仕上げ方法です。
骨材を含まないため滑らかでバリエーションも豊富であることなどがおもな特徴となりますが、工程が多いため工期が長くコストが高くなりやすい点は注意が必要です。
左官仕上げ
モルタル外壁の左官仕上げとは、左官職人がコテを駆使することにより、模様を付けて仕上げる方法です。
他にはないおしゃれなデザインを楽しめることがおもな特徴となりますが、手作業となるため品質が職人の技術に左右されやすい点は注意が必要です。
モルタル外壁のメンテナンス方法
モルタル外壁は、モルタルそのものの防水性が低いことから、一般的に表面を塗装仕上げとしています。
そのため、塗膜が劣化すると、建物へ影響が及ぶ可能性があることは、十分に注意しなくてはなりません。
よって、劣化症状に応じて、適切なタイミングで塗り替えなどのメンテナンスを行っていくことがカギとなります。
モルタル外壁のおもな劣化症状と、その際のメンテナンスについて、以下に解説いたします。
・チョーキング
・カビ、コケの発生
・ひび割れ
・塗膜の剥がれ
チョーキング
チョーキングとは、塗料成分のひとつである顔料が劣化することにより、塗膜表面に白い粉が付着する現象です。
劣化症状としては、比較的初期の段階となりますが、緊急性のあるものではなく、そろそろメンテナンスを検討する時期にあることを認識しておくとよいでしょう。
なお、このタイミングで塗り替えを行っておくことも、有効な選択です。
カビ、コケの発生
カビやコケの発生は、見た目に悪いだけでなく、建物や暮らす人の健康に影響を与える可能性のある現象です。
環境によっては根を張って繁殖する可能性もあるため、できるだけ早く高圧洗浄などで除去し、塗り替えを行うことが重要になります。
ひび割れ
モルタルは、ひび割れを生じやすい素材であることから、適切な補修を行ったうえで塗り替えを行わなくてはなりません。
幅が0.3mm未満のヘアークラックは、フィラーをすり込むなどの方法で比較的簡単に補修できます。
一方、幅が0.3mm以上のひび割れは、リスクがあるため、ひび割れに沿ってU型に削り、コーキングなどの補修材を充填して補修を行います。
以上のようにモルタルが劣化している場合は、適切な補修を行ったうえで、塗装を行うことが重要です。
塗膜の剥がれ
塗膜の剥がれは、すでに防水機能を失っている可能性が高い劣化現象です。
放置すると、モルタル層だけでなく建物にまで影響が及び、雨漏りや強度低下を招く恐れがあります。
塗膜の剥がれはリスクの高い劣化症状となるため、早急に適切な方法で塗り替えを行うことが重要です。
まとめ
モルタル外壁は、非常に少なくなってきてはいるものの、おしゃれでバリエーションが豊富であることから、根強い人気がある仕上げ方法です。
ただし、モルタル素材はひび割れが起こりやすいため、状況に応じて適切にメンテナンスを実施していくことがポイントとなります。