金属系サイディングは、窯業系サイディングに次いで日本で2番目に多く使用されている外壁材です。
一般社団法人 日本窯業外装材協会の統計データによると、2020年(令和2年)に戸建て住宅で使用された外壁材のうち、金属系サイディングのシェアは10.5%(アルミサイディング・金属サイディングの合計)に達しています。 金属系サイディングを外壁に使用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
今回は、金属系サイディングの概要やメリット・デメリット、メンテナンス方法までご紹介します。
金属系サイディングとは
金属系サイディングとは、柄付けされた金属板に、断熱材が裏打ちされた外壁材を指します。金属系サイディングは、使用される金属によって以下の4種類に分かれます。
塗装ガルバリウム鋼板
塗装ガルバリウム鋼板とは、アルミニウムを55%含んだ亜鉛合金メッキ鋼板に塗装を施したものを指します。アルミニウムの耐久性と、亜鉛の犠牲防食作用(キズついたときに鉄より先に亜鉛が溶け出すことで腐食を防ぐ作用)をあわせもち、サビにくいことが特徴です。
塗装溶融亜鉛メッキ鋼板
塗装溶融亜鉛メッキ鋼板は、溶融亜鉛メッキ鋼板に焼き付け塗装したものを指し、一般的には「トタン」と呼ばれます。安価なのがメリットですが、ほかの金属系サイディングと比較するとサビやすく、定期的な塗装メンテナンスが欠かせません。
アルミニウム合金塗装板
アルミニウム合金塗装板は、素地にアルミニウム合金が使用されているタイプで、加工しやすく、サビにも強いのが特徴です。非常に軽量であるため建物への負担が少なく、耐震性に貢献します。耐久性を高めるために、4〜5年に1度程度の塗装メンテナンスが必要です。
塗装ステンレス鋼板
表面材にステンレス鋼板を使用しているタイプです。サビに非常に強く耐久性に優れている一方、価格が高いのが難点です。
金属系サイディングのメリット
外壁に金属系サイディングを使用するメリットは、以下の4つです。
耐久性が高い
金属系サイディングは、金属が使用されているため強度が高く、ヒビや割れ・欠けなどが発生しません。
地震で揺れたり台風で飛来物がぶつかったりした場合でも破損しにくいのは、自然災害の多い日本では大きなメリットです。
耐震性が高い
金属系サイディングは、取りつける際に片側だけ釘打ちし、もう片側はかん合(はめ込み)方式となっているため、地震などで揺れた場合も柔軟に対応できます。
また重量も窯業系サイディングの約4分の1、モルタル外壁の約10分の1しかありません。軽量なので重ね張りしても建物に負荷をかけづらいため、カバー工法では金属系サイディングが選ばれるのが一般的です。
断熱性が高い
金属系サイディングは断熱材が裏打ちされているため、断熱性が高く省エネルギーに貢献します。金属系サイディングの断熱性は、モルタル外壁の約50倍、窯業系サイディングの約6倍にも及びます。
防水性・防火性に優れている
金属が使用されている金属系サイディングは、防水性と防火性に優れているのもメリットです。
水分を含みにくいため、浸透した水分が凍ったり溶けたりすることにより基材が劣化する「凍害」が発生する心配もいりません。そのため金属系サイディングは、寒冷地での使用にも適しています。
金属系サイディングのデメリット
耐久性や耐震性、断熱性などに優れた金属系サイディングですが、次のようなデメリットもあります。
サビが発生する可能性がある
素地が金属であることから、表面の塗装が劣化してしまうとサビやすくなってしまうのがデメリットです。
物がぶつかっても破損はしませんが、塗装が剥げてしまうとそこからサビてしまう恐れがあるため注意しましょう。
デザインのバリエーションが少ない
金属系サイディングは、デザインのバリエーションが少ないこともデメリットです。
石柄・石積み柄やレンガ・タイル柄、木目柄などもありますが、窯業系サイディングと比較すると選択肢は多くありません。基本的にはシンプルなものが多いので、場合によっては工場のような外観になってしまうこともあります。
金属系サイディングのメンテナンス方法
金属系サイディングは、塗膜の劣化にあわせて塗装メンテナンスをおこない、サビの発生を防ぐことが大切です。
塗装メンテナンスは、使用されている塗料の劣化サイクルにあわせておこないます。基本的には、手で触れたときに白っぽい粉のようなものが付く「チョーキング現象」が発生した時点で再塗装するのが理想です。
金属系サイディングは、早め早めに塗装メンテナンスを実施すれば、25年、30年と長持ちさせることが可能です。
まとめ
金属系サイディングは、デザインのバリエーションは少ないものの、耐震性や耐久性、防水性、防火性などに優れた優秀な外壁材です。ただし塗装が劣化してしまうとサビが発生する可能性があります。長持ちさせるためには、定期的な塗装メンテナンスを実施しましょう。
また金属系サイディングは軽量であるため、重ね張り(カバー工法)にも適しています。住宅の耐震性を落とすことなく外壁の機能と家の美観を取り戻せるので、検討してみてはいかがでしょうか。
なお、祢冝田建設でも外壁リフォームのご相談に応じています。外壁の状態を確認したうえで、重ね張りや張り替え、塗装など適したリフォームのご提案が可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。