窯業系サイディングは、日本でもっともよく使用されている外壁材です。窯業系サイディングの耐用年数は25〜30年とされていますが、それ以前になんらかの原因で部分的に破損することがあります。
「全体を張り替えるほどではない。けれども破損が気になる」ときには、一部だけ補修できるのでしょうか?
今回は、部分補修できる窯業系サイディングの劣化症状と、補修方法をご紹介します。
窯業系サイディングを部分補修できる症状
窯業系サイディングの劣化症状で、部分補修で対応できるのは以下のようなケースです。
・一部のみクラック(ヒビ割れ)が発生している
・一部のみ反りやうねりが発生して浮いている
・ものがぶつかるなどして部分的に破損している
このように、劣化や破損が広範囲に及ぶことなく、なんらかの原因で局所的に発生している場合は部分補修で対応できます。もし症状が広範囲に及んでいたり、耐用年数が近く、サイディング材そのものの耐久性に不安があったりする場合は、全体的な張り替えを検討しましょう。
部分的なクラックの補修方法「V字カットしパテ埋め」
クラック(ヒビ割れ)が出ている場合は、クラックに沿ってカッターでVの字になるように斜めにカットし、パテ埋めするのが一般的な補修方法です。クラックの補修は、以下のように進めます。
①カッターでV字になるようにカットする(カットする溝の幅・深さはそれぞれ3〜7mm程度)
②カットした面をナイロンブラシなどで掃除し、粉を払う
③プライマー(パテを接着しやすくする下地材)をカット面にハケで塗布する
④V字の溝にパテを充てんし、ヘラなどで表面を平らにする
⑤パテを十分乾燥させて塗装する
V字カットするときには、それ以上ヒビ割れが伸びるのを防ぐ目的で、クラックの先端に3mm程度の穴をドリルであけることもあります。
反りの補修方法「ネジの増し打ち」
窯業系サイディングは塗装により守られていますが、素材そのものは水分に強くありません。
そのため塗装が劣化したり、サイディングをとめている釘やネジがさびたりして、その部分が吸水してしまうことがあります。吸水と乾燥を繰り返すと、サイディングに歪みが発生し、反ったり浮いたりしてしまいます。
反りや浮きがごく一部であり、押して元に戻るようならネジを打ち直すことで部分補修が可能です。ネジの増し打ちは、以下の手順でおこないます。
①ネジを増し打ちする位置を決めて、ドリルで穴をあける
②ネジの頭が飛び出ないように、座ぐりする
③ステンレス製のネジを打ち込む
④もとのネジが飛び出ている場合は、締め直すか新しく打ちなおす
⑤座ぐりした穴部分にパテを埋め、塗料で仕上げる
ネジを打ち直すときには、強く締めすぎるとサイディングが沈んでしまい、すき間ができる可能性があるため注意が必要です。また、サイディングを押してももとに戻らない、押し戻すと割れる恐れがあるほど反りが進んでいる場合は、部分張り替えを検討しましょう。
部分的な破損の補修方法「部分張り替え」
台風などで何かが飛来し一部だけ破損したようなケースでは、部分的な張り替えも可能です。部分張り替えは、以下の流れで進めます。
①張り替える部分のシーリングを、カッターナイフを使って取り除く
②張り替えるサイディングをとめている釘やビスを抜く
③下段のサイディングを傷つけないよう注意して、破損したサイディングを取り外す
④防水シートや下地に異常がないかを確認し、新しいサイディングをはめ込む
⑤規定本数の釘やビスでサイディングを固定する
⑥釘やビスの頭を塗装またはシーリングする
⑥シーリングを打ち直す
張り替えるサイディングは、既存のものと同じ製品があれば取り寄せます。ただし同じ品でも、既存のサイディングは日焼けなどにより変色しているため、まったく同じ色にはならないと考えておきましょう。
また廃盤などで同じ製品がない場合は、同じメーカーの同じ厚さで、似たようなデザインのものを選び、似た色で塗装して仕上げます。
弊社におけるサイディングの部分張り替えの事例をご紹介します。
窯業系サイディングの部分補修はDIYではなく業者に依頼することが大切
窯業系サイディングの部分補修は、DIYではなく業者に依頼し、あわせて全体の状態をチェックしてもらうことが大切です。DIYで補修すればコストを抑えられますが、下地やサイディング全体の劣化状態を見落としてしまうと、結果的に大きな出費になりかねません。
部分補修をするのにあわせて外壁の状態を見てもらい、塗装のタイミングや今後のメンテナンス計画を相談しておくことをおすすめします。
まとめ
窯業系サイディングは、劣化や破損が局所的なら部分補修も可能です。
ただし、破損の程度によっては下地にまで影響が出ている場合があります。見落として応急的にDIYで処置してしまうと、家の寿命を短くしてしまうかもしれません。部分的な破損であっても、業者に依頼して状態を確認してもらったうえで補修してもらうことが大切です。
なお祢冝田建設でも、外壁補修のご相談に応じています。全体的な劣化状況も考慮して、適切なアドバイスやご提案が可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。