外壁塗装は、雨や紫外線から建物を守る役割を担いますが、経年劣化により機能を損ねてしまうため、10年程度を目安に塗り替えなどのメンテナンスが必要です。
しかし、せっかく塗り替えを行っても、完成後に「イメージしていた色と違う」と感じてしまう人も少なくありません。
この、事前にイメージしていた色と完成後の色にギャップが生じるのは理由があります。
よって、その理由を知ったうえで慎重に色選びを行うことが外壁塗装を失敗しないコツとなるのです。
そこで今回は、外壁塗装の色の選び方について、失敗する理由と失敗しないためのコツをご紹介したいと思います。
外壁塗装の色選びで失敗する理由
外壁塗装を行った後、色選びに失敗したと感じてしまうケースは少なからずありますが、その理由としていくつかのことが考えられます。
外壁塗装の色選びで失敗するおもな理由とは以下の通りです。
・目の錯覚
・周囲とのバランス
・汚れが目立つ
目の錯覚
外壁塗装が完成し、「施工前に検討していた色とイメージが違う」とギャップを感じるのはよくあることですが、このようなケースの多くは、いわゆる「目の錯覚」が原因です。
カタログやカラーサンプルなどで検討したものと建物に塗装したものが同じ色であっても、環境が変わると、少し違う色として知覚されることがあります。
外壁塗装の「目の錯覚」が起こるのは、例えば以下の理由からです。
面積効果
面積効果とは、同じ色であっても面積の大きさによって違う色に見えてしまう現象のことです。
例えば、明度の高い色であれば、面積が大きくなるほど、より明度が増して明るく見えるようになります。
一方、明度が低い色であれば、面積が大きくなるほど、より明度が抑えられ暗く見えるようになります。
つまり、カタログやカラーサンプルなどの小さな色見本と実際に建物に塗装した色では、面積が異なるため、同じ色であっても見え方が違ってしまうのです。
太陽光の影響
外壁塗装は、太陽光の影響でも見え方は大きく変化します。
例えば、太陽光が直接当たっている部分と軒下など陰になっている部分でも違いは見られ、また夕焼けのタイミングでは色の違いがさらに顕著です。
よって、室内の照明で見たカタログやカラーサンプルなどの色と、太陽光の影響を受けた状態の外壁の色は、当然に違って見えてしまいます。
周囲とのバランス
近隣の家の外壁とバランスが悪いと、失敗したと感じることがあります。
色には相性があり、組み合わせのバランスが悪いと多くの人が違和感を覚えてしまうのです。
また、派手な色であれば、周囲よりも目立ってしまい、地域の景観を乱してしまう恐れもある点では注意が必要です。
汚れが目立つ
経年とともに外壁に汚れが付着することは仕方ありませんが、その汚れがかなり目立ってしまうと失敗したと感じることがあります。
外壁塗装の色には、汚れが目立ちやすいものと目立ちにくいものが存在します。
汚れが目立ちやすい色とは、原色に近い色です。
というのも、実際に外壁へ付着する汚れというのは、いわゆる中間色に近い色であり、原色とはかけ離れているためです。
そのため、ベージュやグレーなどの中間色は、外壁へ付着する汚れの色に近く、実際に付着したとしても目立ちにくくなります。
外壁塗装の色選びで失敗しないコツ
外壁塗装の色選びで失敗しないようにするには、いくつかのコツがあります。
そのコツとは、以下の通りです。
・色見本を塗装する場所でチェックする
・カラーシミュレーションを行う
色見本を塗装する場所でチェックする
外壁塗装の色を色見本で検討するときには、室内だけでなく実際に行う場所でチェックすることがポイントとなります。
太陽光を当てた状態でチェックすることにより、完成後の目の錯覚を抑え、より実際の色に近い感覚を得られます。
ただし、面積効果による目の錯覚は起こる可能性があることは注意が必要です。
また、同じ色で塗装している建物が他にあるなら、実際に現地で確認しておくと、完成後に失敗したと感じることも少なくなるでしょう。
カラーシミュレーションを行う
カラーシミュレーションとは、外壁塗装を行う建物の写真に対し、専用の編集ソフトで色を付けて再現するものです。
カラーシミュレーションは、好みの色を何度でも確認することが可能であり、これまでとイメージチェンジしたいときでも効果を発揮します。
また、屋根や樋の色、ツートンカラーの組み合わせ、あるいは周囲とのバランスなど、あらゆる要素をチェックできるため、より完成に近いイメージを掴めます。
ただし、カラーシミュレーションを行った場合でも、完全に再現することは難しく、若干の違いが生じる可能性がある点は考慮しておく必要があるでしょう。
まとめ
住宅の外壁塗装を行うときは、色の選択がきわめて重要な要素となります。
一度塗り替えると次回は10年後となるため、事前の準備はしっかりとしておきたいものです。
また、外壁塗装は、色だけでなく性能にも注目して決定することがポイントとなります。
耐久性が高い塗料を使うほど建物を長く守り、メンテナンスサイクルを長く設定することが可能となります。